「科学画報」入荷

婦人画報ではありませんのよ、昭和32年から33年にかけての「科学画報」です。創刊は1923年(大正12年)で現在は休刊ですが、戦後もつづいた雑誌です。内容はといえば、当然科学にまつわる話ですが、現在でしたらそんなアホな!的つっこみどころ満載のキ印雑誌で相当に楽しめます。

以下、一部記事抜粋でご紹介。


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空のスクーター。「そのうち軍用だけでなく通常のスクーター代わりに使われるであろうと期待が寄せられている」

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平成生まれにはあって当たり前な人工衛星も、初めて打ち上げに成功したのはちょうど雑誌の発刊の年、昭和32年(1957年)の当時ソビエト連邦のスプートニク1号です。

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「日本の原子力の進むべき道」、「キレイな水爆」、「死の灰の横綱」など…原子力関連の記事も目立ちます。

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核爆発をダム建設に役立てようという無茶な内容の記事。

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「兵器以外には使い道のない原水爆のような超強力爆弾も、超小型の破壊力の弱いものにすることができるとすれば、土木工事などの爆破様に利用できる理屈である」…挿絵からしてとんでもないが内容もブッ飛んだものである。

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「スタイルブック」で一躍有名になったのは暮しの手帖ですが…「原子力時代のお買い物には、それにふさわしいファッションで、と…最近ハンブルクのドイツ防空民間学校から提案された原子力時代のお買い物ファッション。原水爆の閃光と高熱から頭部を守る頭巾と眼鏡。死の灰を防ぐマントとガスマスクといった物々しいいでたち」







そのほか身近な暮しの研究も。

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日本のお家芸の研究。

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上野動物園の動物が逃げ出したら恐ろしいよ!という話。

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↑この注釈はちょっと違うと思う。

上野動物園では、戦前から虎が逃げたり、チンパンジーが逃げて見物客に交じってサルの檻を眺めていた、とか、たまたまそのチンパンジーの飼育員が仲良しだったので手を引いて檻まで連れ帰った、などと嘘とも本当ともつかぬような話題である。とくに上記のクロヒョウ捕物劇では、捕獲にあたった技師の格闘の顛末が綴ってあり、マンホールのふたを盾に下水管へ潜んでいるクロヒョウを追い詰める技師は前職がたまたま相撲レスラーだったので(彼は一升酒を飲んでもびくともしない強者)何とかしとめたが、常人には無理であっただろう…といった面白おかしい話。

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ビタミンを取ろう!の話。「ビタミンDが足りないと、セムシや福助頭や骨曲がりのクル病ができます。」と書いてある。

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心臓の弱い人、ごめんなさい。医療分野でも目覚ましい科学の発展技術!1951年にソ連の外科医が(まだ実験段階であった!)血管縫合器を使って切断された腕を元通りに縫合!の話。

この女工さんは工場での事故で、右手首を切断。かろうじて皮一枚でつながっているような状態であったのが、この手術で元通りに手を動かせるようになった、らしいです。本当?しかし、縫合直後?のようなこの手の写真はなんとなく、ただ乗せただけ。のようにも見えるし、こんなに大怪我なのに女工さんは平気な顔なのが不思議。


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「勇敢になる薬」の話。いわゆるポン中問題。戦争中に兵士の戦意高揚を目的に使われたが、その作用は予想以上であまりに兵士が勇敢になったため、飛行機の扱いも荒くなり人身事故や機体の損傷が増えた、などといったことが書かれています。






そして毎号に家庭の工作。

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ズラリと並んだこけしとこけし棚。思い出いっぱいのこけしを飾りましょう。

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詳細な作り方付。

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役に立つ、インディアンキャンプの作り方。

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鉢巻きがイナセな、ウォータースキーの作り方。

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すごく難しそうな、掘りごたつの作り方。

全部詳細な寸法や材料費なども記載。






会社訪問的な内容の記事。

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トランジスタ製造の様子。そのほか、精密機械製造の現場では三角巾をかぶった女工さんがもれなく頑張っている様子が写っています。日本の工業はこうした女性によって支えられていたんですね。





とても役に立つ、「救急教室」

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毎回の質問がかなり精鋭。

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↑緊急に回答を要する質問。

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「海水浴で誤って腕時計をしたまま海に入ってしまったけれどどうしたらよいか?」という質問。「一般的に水に時計を漬けてしまった時は、油に漬けなさいといいますが(←これも初耳)なによりも信用のおける時計店に修理に出してください。」ちなみに、「信用ある時計店とは技術の優れた人が修理してくれる店のことをいい、若い店員がたくさんいる店、を指すのではありません。」





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そのほかにも巻末の連載小説「地球爆発」などなど…気狂い、ノイローゼ発言満載で…幅広い話題を扱った科学雑誌ですがみなさまの興味のある記事がございましたでしょうか?表紙もポップでおしゃれなデザインで内容も大充実の「科学画報」。この機会に是非店頭でお手にとってご覧くださいませ。
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