追加分の玩具の一部をご紹介したいと思います。まずは、冒頭の
カッパ面は地元福岡は姪浜の住吉神社の授与品です。この神社では毎年6月の2日、3日にカッパ祭りが行われています。由来は伊邪那岐の大神が出てくる神話がもとで大変古いものです。
サラサラとした肌合いの素焼きの面で彩色にも深みがあり美しい面なのですが、残念な(?)ことに去年からこのカッパ面のデザインはリニューアルされて大変にファンシーなものと相成りました。この旧タイプのカッパ面の授与は終わってしまったようです。
珍しく正座姿の金太郎人形。最近は肌色の金太郎が多いようですが、古い伏見人形などの金太郎はもちろん真っ赤。子供の疱瘡よけを願った赤です。昔話の中の人物だと思われているかもしれませんが、静岡県生まれの坂田金時という実在の人物だといわれています。岡山県にちゃんとお墓もあります。
飛騨の円空仏。30cmほどの金剛力士像です。製作者は三輪年朗、昭和9年ごろより独自の円空仏を彫りはじめ戦時中は三度応召されるも平成9年に没するまで彫刻に専念。円空仏のアルカイックスマイルを再現するのは難しいだろうというのは想像に難くありません。現在でも孫にあたる方が三代目として
円空洞というお店を営んでおり、飛騨の郷土玩具と共に販売されています。
東京は調布市の深大寺の巳土鈴。今の深大寺のあるあたりはもともと良質な水に恵まれた土地であったため古くから霊地として水神信仰があり、仏教の伝来とともにこの地を選んで寺が建てられたという縁起があります。733年のことです。疫病、厄難除けの水神である深沙大王を祀ってあります。西遊記のカッパ、あれが深沙大王です。
その神門のすぐそばにある、むさしの深大寺窯で作られているのがこの土鈴です。十二支の土鈴が人気で平成13年の年賀切手に採用されたのも巳土鈴です。店頭では常時1000種類もの土鈴を販売している土鈴天国。
鳥取県のきびがら姉様。木製の土台がついています。九州ではあまり見かけない目鼻のない頭部のみのタイプ。
島根県の松江姉様。紙製の姉様人形で3体がひと組であるのが特徴的。現在でもおなじ姉様は作られていますが、フランス国旗かと思うようなトリコロールの鮮やかなボーダーのお召し物となっています。
倉敷張子の未(ひつじ)と怒り虎。生水玩山の名前で玩具各種を作っておられた生水幹一の作品です。山形張子のねまり虎と同じような格好ですが、こちらは両手が同じ位置にあるので猫が伸びをしているように見えて可愛らしいものです。倉敷張子はこのほかに、首振りうさぎもあります。
岡山県の美作(みまさか)の神馬。津山市の中山神社の御神体は鏡作りの神ですが、美作に現れた折に神は馬の姿を借り、背に3本の槍を立てていたとされます。日本の在来種らしい小ぶりな馬の姿がツヤツヤとした竹でうまく表現されています。
熊本県の木葉猿。江戸以前から作られている素朴な素焼きの人形です。型を使わず手捻りで形を作るのでまったく同じものはないのが魅力です。
高知県の坊さんかんざし。岡林藤吉の作品です。この人形も先の大戦の混乱で一度廃絶しています。昭和24年ごろに岡林氏が復元したものですが、昭和50年に亡くなってからは奥様の延子氏が細々と作っておられたようです。
岩手県、中尊寺の俵牛。手技の美しい藁細工です。古くよりこの土地では米が豊作の年には、うしの背に錦の鞍を置き、米3俵を背負わせ時の帝に献上したといういわれがあります。
福島県郡山市、美春張子の玉うさぎ。マシュマロのような体に立体的な耳、鮮やかな彩色が特徴の三春張子。デコ屋敷、橋本芳信の作品です。
愛媛県松山市の姫だるま。愛媛の姫だるまは緞子をまとい男女で対にになったものがよく知られていますが、これは胴体は紙張子でお顔は粘土作り、髪の毛も別途植え付けてあります。お顔も黒目がちで可愛らしいものです。制作は4代目両村。現在は5代目の姫だるまが作られていますが髪の毛がなくなり黒い彩色となっています。
島根県松江市の鯱車。鯨のようですが鯱(シャチ)です。緑の躯体、尾から突き出るギザギザ、尖った歯。いずれも他の玩具にはない面白い造形です。松江市から100kmほど離れた浜田漁港ではかつて沿岸捕鯨が盛んに行われたようですが、鯱も獲れたのでしょうか…制作は伊藤三也、現在は廃絶。
神戸、須磨張子の鯛持ち猿。1984年より吉岡武徳氏が個人で作り始めた張子作品です。自由な発想に基づく張子で見ていて楽しい作品が多いです。近年ではアマビエやふきとばせ・へのかっぱなど。
島根県、出雲の神馬。紙張子のカラフルな首振り馬。出雲大社は縁結びの神様として人気のある神社ですが、この馬は艶福家として名高い大国主命の愛馬をかたどったもの。夫婦円満のシンボルであります。製作者は高橋張子虎本舗の高橋孝市氏ですが平成21年に故人となり後継者もなく現在廃絶。
岩手、花巻の忍び駒。縁結びの神様として知られる円満寺観音に人目を忍んでこのわら馬を供え、念願成就した暁には各色の布で美しく飾った馬を再び奉納するという使い駒であります。
そのほかにも熊本張子、のごみ土鈴各種など三十数点追加で入荷しています。いずれも作者が故人となり同じものは手に入りづらい作品ばかりです。是非お手にとってご覧くださいませ。
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