まずは北海道の阿寒湖周辺で作られていたイナウ人形。アイヌの男女を一刀彫で表現したもので、山形のお鷹ぽっぽと同じ削りかけ(イナウ)の技法を使っているのが特徴です。サルキリと呼ばれる大きな刃物で削っていくのですが、イナウ人形は樹皮を帯や衣服のように後から巻き付けてあるのが面白いと思います。現在は制作されていないようです。
木彫りの熊は郷土玩具ではありませんが、北海道土産としてはメジャーです。去年のカーサブルータスの特集以降、熊の木彫りの置物が若い方に人気があるそうで何よりです。かなりクラシックな鮭を咥えたタイプ。
壁にかけられるタイプの熊の頭。玄関にドーンといかがでしょう。少し鼻が長くてアリクイにも似ています。
ちょっとヘタウマな部類に入る木彫の熊。木端人形の部類に入れてもよさそうです。そのほか大きな熊は40cm、一番小さな熊は2cmのものまで多数取り揃えております。
ご当地もの、博多張子の恵比寿だるま。戦前までは博多にも多くの張子職人がいたそうですが、現在では2軒を残すのみ。手にくっつくキラキラもご愛嬌です。
山形の輪抜きだるま。古典的な木地玩具です。今では信じられませんけどコンピューターが出てくる以前の子供のおもちゃは、けん玉とかこうした木地玩具が主流だったように思います。先日掲載していた正ちゃん乳母車と同じ工房のものですが、2020年に閉業しています。
小さな紙張子のだるまは名古屋張子。だるまが豆絞りの鉢巻をしているのは当たり前かと思いきやこれも日本の東西で異なります。関東は鉢巻なしの目玉なし。関西は鉢巻ありの目玉なしが主流です。そしてその境目が名古屋。この名古屋張子もかなり前、戦後には廃絶しているようです。
和製ルービックキューブともいえる、組み木のだるま。小田原市の山中組木工房でかつて作られていた組み木細工のうちのひとつ。組み木は箱根の伝統工芸品として土産物店などで売られています。指物の高い技術を必要とするためここ最近再評価されていますが、この達磨も現在は制作されていません。
虎の土人形と紙張子の虎。博多では初節句を迎える男児に張子の虎を贈る古習があります。現在でも中国では漢方薬として虎が珍重されているそうですが、古来より邪気を払う強い霊力があると信じられ、厄災を避けるお守りとして全国各地でさまざまな虎玩具が作られています。今年はこのほか、大阪の神農さんの虎や虎の土鈴もいくつか入荷しています。
これも地物。藤崎にある猿田彦神社で庚申祭の日に授与される猿の面です。博多人形なので洗練されたデザインと配色です。毎年顔つきや色も若干異なるのが楽しく収集癖をさそいます。30個ほどあるのでお好きなお猿をどうぞ。
群馬の晃月人形。博多人形などと違って衣装が木目込み人形のような本当の縮緬のお召し物です。木製の共箱付き。昭和21年創業の老舗人形店だったそうですが、新型コロナの影響で2020年に廃業。コロナ憎し。
人類が最初に家畜化した生き物は犬だといわれています。犬と人とは切っても切れぬ仲。張子の犬が描かれているのは舞扇です。飾るもよし、踊るもよし。犬は安産の象徴、子供の健やかな成長を祈るお守りのような役目を果たしています。
埴輪は郷土玩具ではありませんけれど、宮崎土産として埴輪を持ち帰って人も多いと思います。400体の埴輪が棒立ちになっている公園を訪れた観光客は埴輪を買わずにはいられないのかもしれません。特に宮崎県の古墳からの埴輪の出土が多いというわけではなく、埴輪好きが高じてはにわ製作所を作った女性、本部マサさん一個人の影響が強いものと思われます。今年は手のひらサイズの埴輪から、60cmほどの大きめの埴輪、壁掛け埴輪などもございます。
変顔の土鈴。新潟の野呂間(のろま)人形です。野呂間人形は、説教人形や文弥人形の間狂言として一人遣いで方言を交えたセリフと滑稽卑俗な話で観客を笑わせるものです。この愚鈍な滑稽芝居が「のろま」の語源だというのが有力説。
岩手のチャグチャグ馬コに青森の八幡馬。今年は30cmほどの大きなものから5cmほどの小さなものまでいろいろ入荷しています。そのほか木ノ下駒や栃木のキビガラ細工の馬や海外のわら馬も。
大阪城みやげの恵比寿大黒の二福神。3cmほどの小さな一刀彫作品ですが、この大きさでこの表現力はかなりの優品です。
ブロンズの阿波踊り人形。これも玩具ではなく美術品に近いものですが、作者の高橋敬典氏は茶の湯釜の釜師であり、平成8年には重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定、平成21年没。この作品は昭和30年代に製作したものと思われますが、溢れる躍動感と高雅な風情の同居する姿は流石のひとこと。飾っておくだけであの阿波踊りの喧騒と高揚感が思い出されます。
こわかわいい芥子人形。子供の形代のようなものかなと思います。このほかここではご紹介できない玩具が盛りだくさんで皆様のご来店をお待ちしております。
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