石油ストーブ修理の実例、その1。

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石油ストーブの修理や整備は規格がないので、やり方もひとそれぞれ、どの辺りまで綺麗にするかも業者によって判断は分かれると思います。よって先日修理で承りましたアラジンストーブの38型を例に取り、弊店でのストーブ整備についてご説明したいと思います。 まずお預かりした時の状態が、こちら。
P_20161031_115024.jpegハンドルが壊れて芯が上がらないので点火も不可能。内部には煤も付着。持ち主の方はまず、大手家電量販店へ連絡したところ、メーカー修理になるといわれて預けたら結局メーカーが修理不可能ということで、そのまま戻ってきたそうです。 


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ハンドルが空回りするのは内部のプラスチック部品が割れているからなのですが、これと同じ38型の部品は現在製造されていません。現行品の39型の部品で代替すれば済む話なのですが、メーカーは改造に当たるとして拒否したのかもしれません。

ちなみに、このプラスチックの経年劣化による破損は38型のみに顕著に見られるもので、37型などそれ以前のものは同じプラスチックでもこのようなハンドル欠損の事例はほとんど見られません。これは38型から必須になった耐震消火装置の負荷による影響だと思われます。また39型の部品には内部に金属が入っているので耐久性が上がっています。 


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芯回りもタールと煤で真っ黒く汚れています。マイカも傷んで中が見えづらい状態。





 P_20161031_121134.jpegP_20230829_100450.jpeg分解して外せる部品は全部外して業務用の洗剤で洗います。埃の詰まりやすい通気孔も綺麗にブラシで洗います。 真鍮部分はさらに研磨。


P_20161031_125424.jpeg今回はタンク内に数年前の灯油が入ったままでしたので、タンク洗浄も行いました。そしてタンク内に入っていた灯油がこの状態。この黒いカスのようなものが詰まって綺麗な燃焼を妨げます。溜まっているゴミが出なくなるまで繰り返しタンク内を洗います。(ご自分でやってみようと思う方は、汚れた灯油はトイレに流したりせず、タンクに貯めてガソリンスタンドに引き取ってもらうようにしてください。)

P_20161031_125917.jpegよくよく見ていただくとわかりますが、澄んだ灯油の底に黒っぽく溜まっているものが水です。長年使っていないストーブが正常燃焼しないという場合は大抵、タンク内の水が原因です。補足ですが、マンションのベランダなど半屋外に給油ポンプをさしたまま保管している灯油タンクには雨水が混入している可能性が高いです。灯油は屋内保管、シーズンオフになったら残りは正しく廃棄するか全部使い切りましょう。



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古い灯油を吸い込んだ芯は右のような状態です。芯の残量があってもそのままでは使えませんので、新しいものに交換します。


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整備後のビフォー、アフター。


P_20161031_115030.jpegP_20161101_131848.jpeg芯まわりのビフォー、アフター。 


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今回は、ハンドル部分は39型の部品で代用しました。マイカも新しいものに交換します。


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仕上がりの状態。燃焼確認をして終了です。

今回のアラジン38型の修理および整備の場合、料金は合計で17400円(税込)です。基本の分解整備、ハンドル部品、マイカ2枚、替え芯、タンク洗浄の料金を含めての料金になります。古道具のささやでは、日本全国から石油ストーブの修理および整備を承っております。詳細はこちらをご覧ください→ https://antiquesasaya.com
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