1点モノの電傘…

春らしい暖かな雨の日曜日ですね。春に降る細かな雨を春雨といいますが、緑豆でんぷんで作った透明な糸状の食品の名前も、もとはここからきているそうです。たしかにたおやかでさめざめと降る雨の様子。言い得て妙のたとえですね。

今日ご紹介しますのは、弊店では珍しくいわゆる「作家モノ」です。弊店はギャラリーではないので、一個人の方がつくっておられるモノを展示販売することはしておりません。ですが本日ご紹介しますのは、昔のプレスガラスを使った非常に希少価値の高い電気シェードです。


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大正期の透明なプレスガラス5パターンを贅沢に使った電傘。電球の光を通して様々なパターンが浮かび上がりえも言われぬ美しさです。プレスガラスは味わいのある風合いから愛好する人も多く、窓辺にそのまま飾ったり建具にはめ込んだりというのは良く見ますが、電傘にするというのは素晴らしい発想だと思いました。よく見かける「古い○○を使って作った××」というのは、稚拙な技術と素材への過信が甘えとなって中途半端な仕上がりのものが多いのですが、この製作者の方は実に真摯に素材と向き合っているのが伝わってきます。完全に素材を生かしきっていますね。

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エ字形の断面を持つ鉛のリムを用いてガラスの小片を結合する、ステンドグラス(stained glass)の技法で作成されています。ステンドグラスといえば、いろとりどりのガラスをちりばめた工芸品を思い浮かべますが、単色で構成されると現代建築にもすんなりと馴染む非常に洗練された美しさが漂いますね。

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古い板ガラスは年々少なくなる一方ですし、価格もそれに比例して安価に手に入るものではありません。遠方の骨董市などへも足を運んで少しづつガラスを蒐集なさっているということでした。当然同じ模様、色柄のガラスは同じものなどまずありません。貴重な材料を使って作る電傘はまさに1点モノです。華美ではないのに完成された美しさで存在感のある電傘に仕上がっています。お部屋の主役として飾りたい一品です。



製作者の方の意向によりましてこの場では作家名などは記載いたしませんが、今後の活動、展示会などに行ってみたいという方がいらっしゃいましたら店頭でお問い合わせくださいませ。
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