2011/12/14
漆器重箱の使い道…
本日も商品のご紹介を続けて参ります。お椀以外にも漆器製品はいろいろとあります。今日ご紹介する分もほとんどが、いわゆるホンモノの漆器(木製漆器)です。すでにお求めになったお客様もご参考くださいませ。

博多のお雑煮は具だくさんでいろどり良くいろいろなものが入ります。おつゆも透明ですから、すべての具をきれいに見せたい!となると、こういった径が広く底の浅い蓋付椀が最適です。


本堅地の梅形中鉢。宝尽くしの文様によくある宝珠と根のついた松。宝珠は仏具で、サンスクリットで言うとチンターマニ。「意のままに様々な願いをかなえる宝物」なんだそうです。松は静岡の根上がり松のようにも思えます。とにかく、ご利益ご利益。800円。



3段の重箱ですが、提げて持ち運べるように台がついています。サイドには松竹梅が丸紋で施され、蓋には羽の一枚までが美しい雲に鶴の金蒔絵。見事です。3500円。
福岡では割と珍しい沖縄の「琉球漆器」



黒の茶卓と朱の銘々皿。ゴロゴロと転がっているのは、なんとパパイヤ。なんとも沖縄らしい柄です。
琉球漆器の特徴は、堆錦(ついきん)と呼ばれる加飾法とブタの血を使った豚血下地(とんけちしたじ)です。堆錦とは、漆に多量の顔料を混ぜて練った餅状のものを型抜きし漆器の表面に貼り付けるものです。立体的な柄になります。また、豚血下地はブタをよく食べる沖縄に適したものともいえます。ブタの血と桐油、珊瑚の粉、本島中南部でとれる土などを混ぜて作るそうです。またブタの血は空気中の酸素と結合すると強力な接着力を発揮するので、通常の漆下地の代用として多く用いられたんだそうです。


蓋付の菓子器。ハイビスカス柄。以上は琉球漆器最古の老舗、角萬のものです。




同じく琉球漆器の丸盆。ですが、これらは宮崎県の琉球漆器です。正確に言うと、琉球塗の流れを汲んだ宮崎漆器です。太平洋戦争末期に沖縄を追われ宮崎に疎開移住した人が多数おり、その中の漆工技術者が始めたそうです。
今では宮崎県の伝統工芸品指定となっています。琉球漆器の特徴ともいえる冴えた朱の色は、沖縄の高温多湿の風土のおかげだといいますが、九州の中でも温暖な宮崎県はその点でも共通しているのでしょう。素地は沖縄で多用されるデイゴではないと思いますが、下地は独特の秘法…となっているそうですから豚血下地なのでしょうか?


サイドは擦漆(すりうるし)で木目を生かした仕上げ、上面のみ下地をし朱塗りに金蒔絵の中皿。厚手で木の質感を満喫できます。


贈答品を席巻する「たち吉」の最高級バージョン、青嵐(せいらん)の四方盆。葉脈の浮き出る葉の上はガラスが張ってあります。凝った作り。未使用品2000円也。ちなみに青嵐とは青葉を吹きわたる風、薫風の意。


同柄の台付、唐塗り(からぬり)の2段重箱、5000円。
青森県の津軽塗でおなじみの「研ぎだし変わり塗り」の内の一つです。本堅地を施してありますし幾層もの色漆を塗り重ねては研ぎだす、の繰り返しですからとても重厚で堅牢な塗物です。

台無しの2段重箱のみは、3000円。


同じく変わり塗の一種、ひねり塗の五段重箱。小ぶりなので大げさにならず手作りのおせちが映えそうです。

昨今の売ってあるおせちのように具をぎゅうぎゅうに詰める必要もないと思います。ゆったりと一段に1、2品というのも良いです。


台付の一段重箱。正方形でなく凸凹のある個性的なデザインです。塗りも二色で使い分けてあります。

1段の場合は、ちらし寿司を盛っても良いですし…

個人的には、わたくしは観劇には手作りのお弁当を持参します。仕事で行けない夫には、重箱を1段だけ使って松花堂弁当のように詰めてあげます。いつもとは趣が変わって喜びます。わたしのお弁当の残りですけれど…

3色で入れ子になった蓋付容器。1000円。



4寸の銘銘皿、3種。
真ん中と右は、きちんとした木製漆器。真ん中はおそらく輪島塗です。問題は左。会津塗の銘銘皿ですが、塗りは天然漆できれいに塗られています。ただ素地が天然木ではなく、「天然木加工品」だと思います。一見すると大した違いは無いようなこの表記ですが、現在流通している安価な漆器の大半を占めるのが、この天然木加工品です。何でできているかというと「木粉とフェノール樹脂」です。木の粉をプラスチックで固めたようなものですが、だいたい木粉の割合が半分、樹脂が半分。従来のABS樹脂のようないかにもプラスチックな感じは無いものの、純粋な木製品とは全く異なるものです。


モダンな配色ですが、本堅地のきちんとした屠蘇器。漆絵と金蒔絵でこぼれ松葉や笹文様がかいてあります。銚子の形も釜形。盃と台の色が異なるのはよくあることです。個性的なひと揃いです。セットで1500円。

揚羽蝶が描かれた3㎝ほどのブローチ。もとは帯留めだと思います。


15センチほどの小さな3段重箱。大胆に菊文様があしらわれた会津塗。


こうした小ぶりなものには普段使いでおかずを2品とか、いっそお漬物だけ…などというのも素敵です。


九州では珍しい岩手県の秀衡塗(ひでひらぬり)の銘銘皿。
起源は、平安末期の奥州藤原氏までさかのぼるという由緒ある塗物です。金箔を多用する文様に特徴があります。弁柄色(べんがらいろ)の雲(源氏雲)に金箔の有職菱紋、のびやかな松、という一見派手なようにも見える柄ですが、全体に艶をおさえた塗で、実際には力強さと気品が漂うとても上品なものです。1枚500円也。


輪島塗の螺鈿と金蒔絵で蔦文様が施された脚付台。花台にしても、ニャンコ様のお膳にしても良し。3000円。



これ、何に使うものだかよくわかりません。ご存じの方いらっしゃいましたらご教示くださいませ。2円50銭の値札がありましたからかなり古いものです。



もはやお殿様クラスの松竹梅金蒔絵の台付3段重箱。傷みがあるのでセットで1000円也。




見事な枝ぶりの松に鶴と亀の4段重箱。蓋は2枚で贅沢に柄違い。写真では1万円となっていますが6000円也。
続きはまたのちほどに…