ブリキのおもちゃモロモロ入荷

当店は基本的にコレクター商品は置いていないのです。蒐集という行為自体は否定しませんがそれに伴う視野狭窄無状態があまり好きではないのと、またウンチクなんてクソクラエとおもっている性格上の理由もあります。基本的にモノは人に使われてこそ価値があるのだと思っています。

以下、ブリキのおもちゃがモロモロ入荷していますが、これらは大人の趣味として集める人がほとんどでしょう。個人的には、実際に子どもと一緒にこうしたおもちゃで遊びたいなと思います。


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手のひらサイズ山吹色のブリキのトラック。
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HAJIという国産おもちゃメーカーのもので1950~60年代のものです。個人的にはおもちゃに関心はありませんが、昔の塗料ののっぺりした乗り具合は好きです。生クリームをケチってないいちごのショートケーキの様な印象。共通するのはモノ作りに携わる人の誇りの高さでしょうか。





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WOOD PECKERつまり、ブリキのキツツキ。箱付のデッドストックです。T.Tマークはタカトクトイス、国産の海外輸出用商品です。色柄も鮮やかで状態良好。
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箱の絵柄にあるように、もともとはゴムの吸盤をいろんなところにくっつけて遊ぶものですが、さすがにゴムは経年劣化して今は粘着しません。







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小ぶりな手のひらサイズブリキのヘリコプター。羽はパチッとひとつにたためます。






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AIR FORCE飛行機。状態の良さとともに出来具合も、最も日本製ブリキのおもちゃに脂の乗ったころの作。
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独特の塗料の色合いは、現在では使用が認められていない成分を含むことに由来する場合があります。昔は生活のいたるところに存在したアスベストといっしょですね。この手の飛行機は羽が分解して取り外せるのでコンパクトに収納できます。







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お洒落なブリキの消防車。人が乗っていないので、一見するとおもちゃというよりも置物。子どものころに、プラスチック製のセンスの悪い配色のおもちゃで遊ぶのと、こうした小洒落た印象のおもちゃで遊ぶのとでは、その後の成長に大いに差が出そうです。








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三浦商事製、水に浮かべて遊ぶタイプのブリキのボート。「わんぱく探偵団」は1968年に放映されたアニメで江戸川乱歩の少年探偵団がベースになっています。
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この個体は実際には水遊びに使われなかったと見え、スクリューも錆等なく完品です。前方に出ている針金のような部分を回すとスクリューが連動して回りますので、めいっぱい回したところで水に浮かべるとぐんぐん進みます。夏の家庭用プールで遊ぶのにちょうどよいです。本体にある「Ⓒ虫プロ」は手塚治虫のアニメプロダクションですが1961年に設立し73年に倒産していますからごく短い間に使われた商標です。







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1950年に設立された萬代屋、いまのバンダイ製のMUSTANG(ムスタング)。大きめのブリキの車のおもちゃです。天井に若干の錆あり。
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フリクションも健全。このおもちゃのフリクションは小賢しくバネを使った動力のチョロQなどと異なり、のろのろと走る重たい感触は古典力学の醍醐味。ただの車輪付きおもちゃ、というものではなく明らかにこれは車であると体感するおもちゃだと思います。この感触、小さな男の子には快感なのではないでしょうか?






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↑のよりも少し小ぶりながら、しっかりとしたつくりのブリキの車。全体的にこちらのほうが上質です。これくらい出来が良いと、おもちゃに興味のない人でもマジマジと眺める人が多いでしょう。
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一か所だけタイヤのホイールに欠損がありますので反対面を表にして観賞してください。






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2足歩行ブリキのロボットとしては入門編の「鋼鉄ジーグ」。1975年から76年にかけて放送されたロボットアニメです。しかし、ジーグって言いづらいし聞きとりづらい単語だなと思います。







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ヨネザワ製、ブリキの手動洗濯機のおもちゃ。
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しっかりした作りで、後ろのねじを巻くとスクリューが動きます。サイドには脱水用レバーも有り。水遊びも可能です。
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「自分の大事な人、モノの身につけるものを清潔に保つことは楽しく幸福なことである」と学べる素晴らしいおもちゃだと思います。

先日たまたま読んだフリーペーパーに昨今の「おままごと」事情が変化しているというものがありました。おままごとの役割分担で昔から皆がやりたがった「お母さん」の人気が落ち、いまや子どもがこぞってなりたいのは「ペット」の役だと…。その記事は、要はお母さん人気が落ち目な理由は家事労働や家族をまとめる役目を楽しそうにこなす母親像の欠如にあるのではという内容で締めくくってありましたが、本当であれば背筋の寒くなるような話だなと感じました。







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ブリキの小型レジスター。
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おもちゃというよりも置物の風情ですが、ボタンを押すとジャーンという音とともに引き出しが飛び出てきます。一見米国製ですが仕様の細やかさからして、おそらく日本製だと思います。









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ヨネザワ製、国鉄ハイウェイバス。
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STマーク入りですが、箱付完品です。STマークは1971年に玩具安全基準(ST基準)をもとにつくられた玩具の安全性を保証するマークのことです。コレクターとしては、これがつく以前のmade in Japan表記のモノのほうが価値があると判断するのでしょうが、これを境におもちゃとしての魅力のありなしで言うなら歴然と差が付くので当然ですね。安心安全を優先すると創造性や独創性が制限されるのは自然なことで、おもちゃとしての魅力はガタ落ちです。

たしかにSTマーク以前のブリキのおもちゃはエッジが尖っていたりして遊んでいる子どもが手を切るようなことも頻発したでしょうが、そこで得る気づきは多かったのです。モノは大切に扱わないといけないんだなとか、痛みがわかることで他人にも優しくすることができます。ですからこのご時世に、あえて昔のブリキのおもちゃで子どもに遊ばせるというのも有意義だと思うのです。
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