時計4種入荷

年内の営業も、今日を含めてあと3日。夫はホウホウノテイで今日も店に出かけてゆきました…以下直近入荷の時計4種。



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1日巻きのオルゴール付目覚まし時計。手巻きですよ。

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精工舎製。何の曲がかかるかは店頭でお試しを。






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木目調のトランジスタ掛け時計。セイコーソノーラです。

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小細工のないハッキリスッキリ時間のわかる文字盤。





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木目と緑色の配色が絶妙な品の良い掛け時計。14日巻き、手巻きですよ。

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服装もそうですが、上品に洒落ることができるのはおとなの特権ですね。






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ドイツ製の置時計。

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四方がガラスなので機械部分が見えます。驚きの400日巻き。手巻きは面倒だ、という人にも。



以上4種、腕の確かな職人のオーバーホール済みです。そのままお使いいただけます。


掛け時計に関しては、「電池で動くトランジスタ時計」と「ねじを巻く手巻き時計」がありますが、当店で扱っているものは手巻きでも外見がモダーンな雰囲気のものが多いのでトランジスタとの見分けがつきづらいと思うお客様も多いかと思います。要は文字盤にねじまき用の穴があいているものは手巻き時計なのですが、よくわからないなぁという方は遠慮なく店主までお尋ねください。

昭和のポチ袋、ほかもろもろ入荷

今日は冬至ですね。冬至にはかぼちゃといわれますが、要は「ん」のつく食べ物をたべるといいのだと聞いて育ちました。地方によっていろいろいわれがあるようですが、とりあえず南京は食べるとして、我家では「おいなりさん」も食べることにします…


以下、直近入荷分です。


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クリスマスのしおり。

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小さなものですけれど、戦前のもので印刷の具合がとても丁寧できれいなのです。





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懐かしい昭和のポチ袋。

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余談ですが、はじめてお年玉をあげたとき「あぁ、わたしも大人になったもんだなぁ」とおもいました。

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おっぱいの具合がすごい。







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昭和のご飯茶わん。

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モダーン柄いろいろ…





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濃い茶色のコーヒーテーブル。






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ロバみたいな人形親子。






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くろんぼこけし栓抜き。







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人魚型栓抜き。







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赤被せ切子の冠水瓶。

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やっぱり赤の切り子は美しいです。見惚れます。





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ガラスのスタンドライト。一回目のカチッ、で電球部分が点灯。2回目で筒のガラス部分が点灯。

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白い擦りガラスにお魚のレリーフ。





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小ぶりな木製飾り棚。

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あちこちに壺モチーフ。

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サイドにも壺。




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薄くて色っぽい紫色のグラス。

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下がポッコリして変わった形です。

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四角い紫の皿は大小あります。





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クリスタルカンガルー。腹に小物が入れられます。






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モダーン花瓶、色違い。






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一見金ピカの地球儀2個。

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大きいほうは、煙草入れに…

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小さいほうは、ライターに…

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細部まで凝りに凝ったつくりのウインドミルのライター&煙草入れセット。1980年代後半ごろの商品でしょうか。







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南仏を思わせる温かみのあるお皿なのに「SEIKO」。






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クジラ皿。

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日本近海捕鯨株式会社の記念プレート。





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モダーン漆器の蓋物と小皿5枚組のセット。

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木の葉柄。






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青色ガラス小鉢。







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三角灰皿、色いろいろ。

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50年くらい前のもの。サントリーのヘルメスのリキュール類宣伝灰皿。





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昔風のラジオ。

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AM,FM入ります。レプリカ。





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うつ病の犬をワイヤーで表現したらこんな感じ、といった風の置物。なぜだかうなだれていて薄気味悪い。





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真っ黒のフグ型灰皿。

人面陶板、ほかもろもろ入荷

休む間もなく商品もろもろ入荷で営業中です。



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長机、入荷。

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軽くて素朴な机です。

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作業台として。





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赤ら顔の女性の置物。灰皿として使う勇気のある人いませんか?






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白と黒のモダンプリント皿。

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鳴海製陶製。





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当店では定番のアンバー色ガラスカップ&ソーサー。

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DURALEXです。






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ゆったりと口の広いカップ&ソーサー。

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これも鳴海。





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簡易本立て。両サイドに小鳥の透かし彫り入り。





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大きく重い木箱。

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はめ込み式の蓋。






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回転式椅子。座面も中のバネも現状にておつとめ価格。






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厚手のガラス鉢、3種。

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虹色。

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いちごミルク色。

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ぶどうゼリー色。

この手の小ぶりのガラス鉢は、男女問わず喫煙者のお友達へ灰皿の贈り物として人気があります。









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お正月用にとご要望がございましたので、華やかな金襴手の深鉢。

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がめ煮からサラダまで何を盛っても華やかに。





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全長40センチくらいのお魚の皿。

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うろこの柄までキレイ。明治ごろの伊万里焼。


続きはまた…

「漆器まつり」御礼

はじめての「漆器まつり」、本当にたくさんのお客様にお越しいただきまして心より御礼申し上げます。

漆器は、一般的な道具とちがい複数の材料、工程を経て出来上がるものなので基本的な構造や材料に関する知識がなければその良し悪しの判断をつけづらいものです。したがいまして蛇足ではありますが、漆に関する話を少ししておきたいと思います。

今回の漆器類は制作年代が主に明治から大正のもの、モダーン漆器に関しては昭和40年ごろまでの商品です。合成漆器が台頭してくるのは戦後、高度経済成長による工業化の影響が大きかったということはお話ししましたが、それ以前の木製漆器は純国産であると思われる方も多いと思います。しかし意外なことに漆という材料は100年以上前の明治28年ごろから国産を輸入が上回っています。輸入自体は鎖国下の江戸期から行われていたようです。さらに戦後は国内の漆生産量は激減し輸入依存度は99パーセント近いという状況が長年続いています。

ですから素地の木や上塗りは国産のものを使っているにしても下塗り、中塗りには外国産漆を使うというのがほとんどのようです。真っ当な漆器屋さんでは現在でも天然漆の輪島塗箸が1膳1500円程度で買えると申しましたが、これも輸入漆あってこその値段です。国産の木を使った国産の漆だけで塗り箸をつくるとすると、おおよそ1膳が8000円以上はします。天然木にポリエステル樹脂を塗った一見して同じように見える塗り箸が100円から販売されていることを考えると、売れませんよね。同じように見える100円の箸と8000円の箸…


そうなると外国産漆よりも国産漆のほうが良いのか?という疑問が湧いてきますが、これは生産される地域によって漆の組成がことなります。漆は中国、日本、ミャンマー、タイ、カンボジア、韓国といったアジア圏でしかとれませんが、日本に輸入される漆はそのほとんどが中国産です。この国産漆と外国産の漆、何がちがうのかと言いますと主成分ウルシオールの濃度です。一般的に中国産、韓国産に比べ日本産のもののほうがウルシオール濃度が高く品質が優れていると言われますが、実際には中国産も各省で幅広く採取されており国内でも大和産、相模産など産地ごとにもかなり成分に違いがみられることもあり一概には日本産が優れているとは言えないようです。漆そのものよりも明治、大正の漆器と現代の漆器、その大きな違いは作っている人の違いのほうが大きいような気がします。

いまではほぼ絶滅した「職人」と言われる人たち。以前にも博多包丁の件で書きましたが、いわゆる丁稚奉公ができなくなったのは労働基準法が昭和22年に制定されたためです。それ以前の塗師屋(ぬしや)の徒弟制度はどうだったのかと言いますと、江戸幕府藩政のころは年季(勤めを約束する期限)が13年、明治の初めは9年、大正時代は7年だったそうです。親に連れられて酒一升を持って弟子入り、親方の家に住み込みで兄弟子の世話や家事や子守などの雑用をこなします。本来の仕事のほうは3年目で初めて塗りの仕事が与えられ、年季明け一年前にようやく上塗りが許されます。しかもそれはみなができるのではなく、品行方正、技量優秀なものだけが許されたといいます。そして年季明けになると親方と親子盃をし、名の一字をもらって独立します。それだけの年月に努力を要する「職人」の仕事が、現代の漆器作家と比べるべくもないのは仕方のないことです。
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職人個人の技量自慢よりも、見えない下地にしっかりとした技術をを施すという誇りのある仕事は、きちんと責任を負っています。つくったものに作家銘を入れるようなことはしませんが、職人が責任を持って作ったものには、共箱や包装紙に屋号や職人個人の名前が印字されているものも多くあります。

とくに輪島地方の職人には小唄、三味線、謡曲や俳句などの遊芸は一通りおさめた人も多かったそうで、輪島の芸者がほかの地方にくら替えするとお給金が上がったそうです。芸達者なお客の相手をしているから自然と芸者の芸も上達するんですね。時代のながれだとはいいますけれど、そうした人間らしい余裕をもった職人が作ったものはおのずとその作品にやわらかみというか深みがあるのは必然の様な気がします。しかし失ったシステムを再び、というのは無理な話ですし懐古主義には陥りたくありません。国内でも岩手県の浄法寺漆は生産量を増やす試みが盛んに行われています。そうした活動を後押しする意味を込めて良い商品を見極め、現在作られている漆器を手にとってみて欲しいと思っています。




さてさて、長くなりましたが今回の「漆器まつり」において実際に漆器を購入して使ってみた!というかた、もしよろしければ今回コメント欄をつけておりますのでご意見、ご感想をお寄せいただけましたら幸いです。わたくしこけしは店頭に立つことがめったにないものですからお客様と直接お話しする機会もないもので、いつもブログを見てるだけ、といった方もこの機会にご要望、ご批判等頂戴できましたらとおもいます。

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うるしかぶれ?

当店の「漆器まつり」も明日19日(日)までとなりました。ブログでの商品紹介が追いつかないもので店頭にはすでにない商品も含まれますが、ご参考までに。



本日ご紹介する商品は、日常のための漆器とは異なり工芸的な見て楽しむ美しさもあるものです。逆に言うと漆器といえばこのような技術を駆使したものを思い浮かべる人のほうが多いかもしれません。ですがこうした優れた作品は、日常の漆器のためのしっかりした土台の技術の上に成り立っているのだということを心に留めておきたいものです。


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真塗(しんぬり)内朱の「八十椀(はちじゅうわん)」セットで8000円。

お茶事やお寺のお斎などでも使う椀4つのセットです。つぼ(小ぶりの吸物椀)ひら(煮物椀)しる(汁椀)めし(飯椀)の四つのそれぞれ蓋が付いていて重ねると八重になることから八十椀と呼ばれます。真塗というのは、黒呂色漆で上塗りしたものです。つや消しの様に鈍い輝きの漆椀と違い、最後に漆を磨き上げて艶をつける塗り方の技法です。見た目重視ということですね。

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椀の内側(見込み)は鮮やかな朱漆で塗られています。一目見るだけで上質な塗りだとわかる深みのある椀です。

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それぞれ大きさの違う4つの椀、これだけあれば毎日の食事に事足りますね。






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菊竹蒔絵の進物盆、3枚組12000円。

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3枚ともに若干異なる図柄の菊と竹が蒔絵で描かれています。

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菊の葉の葉脈まで美しい高蒔絵。






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布着せ本堅地の輪島塗角盆2000円。

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縁の立ち上がり部分は、摺漆(すりうるし)塗りで木目の美しさを存分に。








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輪島塗の鯉が高蒔絵で描かれた椀、5客セット。

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金色の鯉が美しいです。







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布着せ本堅地の輪島塗富士形吸い物椀、5客セット。

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先にも申しましたが、漆器は角が弱いのですが、名月椀や富士形の椀のようにあえて角をつけたものもあります。下地の手間暇を考えると何倍にもなりますが、技量試しのようなものでしょうか?それもわかる人に使ってもらわねば何もなりませんね。表面には蓋と椀に通しでススキの平蒔絵。

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蓋の内側には、見事な高蒔絵で緻密な菊。

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椀の内側には、はらはらと菊の葉っぱ。しかもよく見れば虫食いの様子までありありと。






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溜塗(ためぬり)の内箔菓子器20000円。

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菓子器ですが、要はただの箱ですのでいろいろな用途にも。溜塗というのは赤い色の下塗りのうえに透漆を塗って、飴色の漆の透明感を楽しむ塗り方のことです。

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いやらしさのない上品な箔。






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布着せ本堅地の輪島塗2段重箱、12000円。

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沈金で菊と蝶が描かれています。優美で大胆な意匠は琳派のかおり。

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内側は朱。下地もきちんとした良い作りです。





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布着せ本堅地の輪島塗の重箱台。

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根来塗りとは逆に中塗りに朱、上塗りに黒がかかっているようです。何となく鬼のパンツの柄を思い出すのは私だけでしょうか…

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重箱をのせるとこうなります。ちなみにうちのニャンコは重箱台の上に杯洗の食器でおまんまを食べます。猫が前かがみにならなくてよいので画期的だと思っているんですが、知らずにうちに来たひとは新興宗教の神様へのお供えだと勘違いする人がほとんどです。






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一見無地の黒い椀。京塗黒吸い物椀全10客、すべてバラ売りで1客15000円。

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蓋を開けると、蓋と椀の内側にそれぞれ異なった意匠が蒔絵で表現されています。全部で10客ありますが、その蓋と椀すべてがちがう柄です。贅沢の極み。

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これらは何を描いてあるのかと言いますと、「謡本(うたいぼん)」です。謡(うたい)というのは能の声楽の部分です。能では台詞の部分にも独特の抑揚がありますが、それらのテキストといえるものです。能の知識があることが前提の楽しみ、大人への道は遠いです…

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わたしのような素人目にも技術の確かさはわかります。

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こんなに小さな謡本の文字までがきちんと美しい字で描かれています。

独特のツヤが美しい呂色仕上げのこれらの椀は京塗(きょうぬり)です。漆下地の調合などにおいて輪島塗などとは異なり、実用というよりも魅せるための漆器です。全20柄ですから、ここでは全部ご紹介しきれませんのでどうぞ店頭でお手にとってご覧くださいませ。






以上、今回の「漆器まつり」の商品をご紹介してまいりました。「漆器」とひとくくりにはできないほどピンからキリまである漆器の世界は深く楽しいです。漆による皮膚炎を「うるしかぶれ」と言いますが、気触れる(かぶれる)というのは「感化される」とか「その風に染まる」、といった意味もありますので今まで漆器に興味がなかったという方もホンモノの漆器の良さを体感してどんどん漆器に気触れて欲しいものだと思います。師走も後半を迎え何かとお忙しい折とは存じますが、今回ご紹介しきれていない花塗の時代椀や大ぶりな菊の蒔絵の3つ椀なども追加で入荷しておりますので店頭まで足をお運びいただけましたら幸甚です。

ポリエステル塗料の輪島塗?

「漆器まつり」初日にとりあえず使ってみようかと輪島塗のお椀を買ってくださったお客様から「本当の漆器がこんなにいいものだとは知らなかった!」という言葉をいただき、とてもうれしく思っています。軽くて持ちやすいのでおじいちゃんおばあちゃんへ買っていくのだという若者もいます。飯椀ごとき陶器でもたいして変わらないのでは?と思うかもしれませんが、漆器の飯椀を使ってみて初めて今までは何と重たい椀で食事をしていたのか!と驚く人が多いようです。そして真っ黒なお椀に真っ白のお米が何よりもおいしそうに見え食の細かった子供が急にご飯を残さず食べるようになったので驚きましたとの話も伺いました。



以下、商品紹介のつづき…



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木製漆器の角盆。万寿菊と竹の蒔絵、1枚100円。重箱もそうですが、漆器は角が弱いです。乾燥によるヒビなどはすみっこから入ります。そのために丁寧な下地が必要です。お化粧と一緒ですね。





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根来椀。根来(ねごろ)塗ではなく根来風です。素地は高級漆器材のフェノール木漆、と自称しています。ひとつ100円。






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春慶塗でしょうか、木製漆器の木皿。軽くてかさばらず、ちょっとおまんじゅうを食べるときなど重宝です。






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琉球漆器の茶卓。

現在日本では23の主要な漆器産地がありますが、そのうちのひとつに沖縄の「琉球漆器」があります。古くは朱色のものが多く、戦後本土復帰までの期間には米国人受けの良い黒地の漆器が多く作られたそうでこの茶卓もまさにそうです。現在おみやげ用に売ってあるものも多くは朱色の漆器が多いですね。しかし琉球漆器もご多分にもれず合成樹脂を使用した漆器が多数を占めているようです。

琉球漆器の特徴は、素地に沖縄地方独特のデイゴやエゴの木を使うこと、「豚血下地(とんけちしたじ)」といってブタの血液!を使っているものがあることです。古くは漆下地のものだったようですが、明治以降つい十数年前まではごく当たり前に豚血下地を使っていたそうです。この茶卓も…豚血は身近で安価に手に入る材料として、しかも堅牢性においては漆下地に劣らないそうで沖縄の理にかなったものだったのでしょう。

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琉球漆器特有の技法「堆錦(ついきん)」で描かれた立体的なハイビスカス。





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小丼くらいの器ですが、輪島塗の杯洗(はいせん)です。酒席でお酒を返杯するときに自分の口をつけたお盃を水ですすぐための道具です。

うちのニャンコは水もゴハンも磁器の杯洗を使っていますが、ここ福岡では有田に近いこともあってか杯洗といえば磁器のものが多いようです。近畿地方ではこのような漆器のものが多く見られます。

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内側はキンキラの箔。ひとつ1500円。






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輪島塗の徳利袴。とっくりばかま、と読みます。徳利に袴を履かせようという心意気が素敵です。無用なようで、一度履かせてみると今度は裸の徳利が恥ずかしいような気持になるので不思議です。

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黒に赤いラインがチラリの袴。1つ200円。

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千鳥が沈金、沈銀で描かれています。1つ350円。徳利は1本200円。お揃いの柄の猪口はひとつ100円。

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お揃いの角皿はひとつ200円。自家製塩辛とか…

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丸皿はひとつ150円。自家製カラスミを薄く切ったのとか…晩酌が楽しみになります。






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大きく平べったいお雑煮椀。九州では深さのある小丼サイズの椀で雑煮を食べることが多いですが、このような薄く大きな椀だと具材がキレイに見えるように並べられるので良いです。1客1000円。






今回はじめて「漆器まつり」を開催してみて、みなさまの需要に気づいたものがあります。それが重箱。とにかく人気。重箱を探している人が多いのです。しかもみなさん理想の重箱像をきちんと持っていらっしゃる。おせちを自分でつくる人も作らない人も、素敵な重箱は欲しいと思っているんですね。次回はもっと豊富にそろえたいと思いました。

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朱の輪島塗2段重箱10000円。

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3段腹?とみまごう形ですが、2段です。沈金で笹など吉祥紋が描かれています。

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中は黒。







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これはおそらく合成漆器の重箱、5000円。

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中は赤で3段。古いものは4段を多く見ましたが最近は3段でさえも少ないですね、デパートなどではほとんどが2段仕様です。

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部分的に螺鈿も入っていて随分と豪勢です。







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輪島塗のお箸、追加で入荷しました。

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朱が10膳、黒が1膳。先に入荷していた分は四角だったのですが、これは楕円です。ものすごく握りやすいです。1膳500円。


輪島塗のお箸、というと高価そうに思うかもしれませんが、現在作られているものでも天然木に天然漆が塗られているお箸1膳が1500円程度で買うことができます。ただしこれはきちんとしたお店の話。商品に「輪島塗箸」とハッキリ書いて売られているものでも裏面をみると「ポリエステル塗料」と書いてあることも少なくありません。これははっきり言って偽装に値するものだと思いますが、法律的に明確な分類と表示の規制がないことが問題です。消費者が知らないほうが悪いとでもいうのでしょうか?みなさまもどうぞ知らぬまに「ポリエステル塗料の輪島塗」を買ってしまわぬようお気をつけて…

ホンモノの漆器とニセモノの漆器の見分け方

みなさま、そもそも「漆器」の定義を御存知でしょうか?

広辞苑では「漆塗りの器物」とあります。日本標準産業分類では、「漆器製造業」というのは「木材・木製品製造業およびプラスチック製品製造業の一部」も含まれます。つまり、プラスチック成型加工業者や吹き付け塗装業者、いわゆる合成漆器を作る業者も漆器組合などに含まれているということです。

新しく漆器を購入する場合は、商品に「家庭用品品質表示法による表示」の小さな紙がついていますね。しっかり見ないまま捨ててしまう人も多いかもしれませんが、ここにはあなたの買った漆器の分類が表示してあります。漆器の呼称は必ずしも統一されているわけではないのですが、大きく分けると以下のように分類できます。


「漆器」…素地の如何を問わず天然漆を塗った製品

「合成漆器」…天然漆以外の塗料を塗った製品


つまり、一番上に漆が塗ってある製品は素地がプラスチックであろうとみな本物の漆器と言えるわけです。ただし一般消費者は「天然素材に天然漆を塗ったもの」だけが本物の漆器という認識です。「ホンモノの漆器」という定義自体に生産者と消費者の間で食い違いがあります。



さらにもっと詳しく、見えない素地の部分に何を使っているのかということを含めると以下のようになります。

「木製漆器」…天然木に天然漆を塗ったもの。デパートなどでよく見る伝統的工芸品に指定されているものはすべてこれに該当します。一般的にホンモノの漆器と思われているものは、これ。

「樹脂製合成漆器」…木粉加工品(圧縮材)や合成樹脂の成型品(プラスチック)に各種の合成樹脂塗料を塗ったものはすべてこれに含まれます。

「異種積層合成漆器」…素地の如何を問わず塗装の段階で異種の塗料を併用した製品。

「異種積層漆仕上げ合成漆器」…最後の仕上げに天然漆を使用した製品。



難しいですね。一般消費者が見て理解できない表示は、表示していないのと変わりないと思います。しかも昨今ではプロでも見分けのつかないような精巧な合成漆器もあるといいますから話は複雑です。天然木に天然漆塗ったホンモノの漆器(木製漆器)を手に入れたいと思うのならば信用できるお店を選ぶことと、消費者側もある程度の漆器に関する知識を得ることが必要です。




さて今週末19日(日)まで開催中の「漆器まつり」、商品紹介のつづきです。今日の分はホンモノの漆器とニセモノの漆器が順不同で混在していますので注意深くご覧くださいませ…


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輪島塗お屠蘇セット1500円。

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美しい沈金です。

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これってありえない値段ですよね、というご指摘をいただきますが、ごめんなさい。お盃がひとつ行方不明です。







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しこく彫3段くり抜き弁当箱。

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大根みたいな弁当箱です。共袋付1000円。










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見事な沈金の杯と台セット1000円。

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よく見ると松竹梅がムッチリ。






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美しいツヤっツヤのお屠蘇セット。ニセモノです。ただしあまり漆器に感心のない人が、これだけ単体で見る大抵は「ああ、立派な漆器だなぁ」と思うことでしょう。

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素地はフェノール樹脂(プラスチック)で上塗りも合成樹脂塗料だと思います。合成漆器の代表の様な作りです。

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蓋裏が一目瞭然にプラスチック。そしてこの製品が入っている紙箱には大きく「輪島型屠蘇セット」。輪島型って…後生大事にこのようなニセモノ漆器を押し入れに仕舞いこんでいるご家庭がどれだけあるのか想像すると恐ろしいです。是非店頭で本当の漆器と比べて触ってみて欲しいと思います。






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おめでたい木製漆器の丸皿。

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のびやかな絵柄が時代の古さを感じさせます。往々にして古い漆器は絵付けがのびやかでモチーフも斬新です。器自体もまん丸でなかったり凸凹していたりと柔らかみがあります。






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安直な柄付けが怪しい、三羽鶴松満菓子器。作家銘もあり立派すぎる桐の共箱に入っていますが100円。





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同じ大きさの木皿38枚。どれでも1枚100円。

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木目が美しいのです。実用的な美しさ。






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木製漆器箸箱。

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中は朱。






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布着せ本堅地輪島塗の丸盆。本来は給仕盆、通い盆ですが、季節の飾りものをしたりするのにちょうどよい無地の盆です。






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こぼれ松葉が愛らしいモダーン盆。素地はABS樹脂。

以前にも書きましたが当店では通常もモダンな絵付けの合成漆器を好んで取り扱います。単純に色柄が可愛らしいと思うとともに、その作品にホンモノを真似たニセモノであるという後ろめたさがないからです。合成樹脂の特質を生かした丈夫な合成漆器として堂々と販売されているものは消費者がその意味をわかっている限りは良いことだと思います。






汁椀いろいろ…

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呂色塗りのつやつや輪島塗椀。その深みのある艶とゆがみのあるおおらかさが楽しいお椀です。昭和初期のものです。1客100円。

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えび茶色の椀。伊勢海老が質感は本物そっくりに漆絵で描いてあります。光正銘入り。1客400円。

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洗朱につくしの椀。一客200円。なぜにつくしなのか?ズンズンと勢いよく伸びるつくしが描かれています。この椀はお直しがしてあるのですが、それがチマチマとわからないように直してあるのではなく、堂々と若干色味の違う漆で補修してあります。昔のひとの漆器に対する接し方が伺えます。

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蓋と椀をまたいで壽の文字が蒔絵してあるめでたい椀。昭和初期。下地からきちんと作られている椀です。一客500円。

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蓋の内側には、松ぼっくり。

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力強い牡丹の蒔絵の椀。少し大ぶりなのでお雑煮椀としても良いでしょう。1客500円。

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一見上品な輪島塗風の椀。上塗りは漆のようですが、下地はおそらく合成樹脂だと思います。一般的に合成樹脂を素地にした場合に現れる問題、たとえば木製素地にくらべて重たいとか逆に軽いとか、ぶつけたときに特有の音響、厚みであるとかそうした差異をうめるための策がとられています。素地の成形の際に樹脂発泡を行い重量、外観ともになるだけ木製品に似せるように作られているということです。1客100円。

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これはわかりやすく合成漆器。一番頑丈です。1客100円。

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明るい朱の本堅地椀。蓋の部分が三日月形になっていて蒔絵の鷹が空を飛んでいるように見立ててあるようです。明治中期のもので1客100円。

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乙女好きしそうな千鳥の蒔絵椀。木製漆器で少し大き目。1客300円。昭和初期のものです。

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ツヤツヤ呂色仕上げの蝶の蒔絵椀。木製漆器ですが明治のもので傷みがあるので1客100円。

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富士山に松の漆絵の本堅地椀。1客100円。

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写実的な美しい牡丹の蒔絵の椀。

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梅に松の蒔絵、本堅地椀。1客100円。椀の底に「山」などの文字が書いてあるものがありますが、昔は買ったひと(注文した人)の名字の一字を目印に入れたりしたものです。

「椀講(わんこう)」というものを御存知でしょうか?江戸時代には裕福な町人が漆塗りの椀や膳を数多く取り揃え保有することがステータスとなったわけですが、一般庶民は椀講で漆器を購入した人が多かったようです。いまでも漆器といえば「輪島塗」と誰でもが口にしますが、輪島塗が全国に販路を拡大した理由は、品質の高い製品の量産体制を確立したことに加え、行商による椀講で安定した販売先を確保したためだと言われています。これは10人の顧客がグループ(講)を組み、各人が商品の価格の10分の1のお金を10回払います。商品は抽選で10年かけて毎年ひとりに納品されるというシステムです。こうして購入した漆器は修理が必要になれば行商人を通じて輪島に持ち帰り補修され再び使われるという効率的なもので顧客の信頼を得たのです。