ランカクデ

乱獲ではなく、卵殻です。英語で言うとエッグシェル。よくあるボーンチャイナ、磁器の種類のひとつでボーンは骨、チャイナは磁器を指します。骨粉は牛を使うそうです。そしてこの卵殻手と呼ばれるものは卵の殻を土に混ぜて焼成する磁器です。

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金がまぶしいほどの豪華絢爛なティーカップです。

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厚みは1ミリ以下で向こうが透ける様は、まさに卵殻。

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明治30年頃まで、海外輸出品として脚光を浴びたそうですが現在は途絶えた技術になってしまったのでしょう。しばしば染物や彫金など現在はできないと言われる高度な技術で作られたものを目にする時、失ってしまったものの重大さに気づき、取り返しのつかないということの悲しさで心がギザギザします。


話がそれましたが、卵殻手の特筆すべきは、「薄さ、軽さ」です。手に取ってみると皆、ホゥとかハァと発します。たいていの方は驚きますね。うすはりグラスで冷えたビールを飲むと心底おいしいように、口当たりの薄さは飲み物の味と香りを劇的に変えますから、きっとこの卵殻手で飲む紅茶もきっとおいしいはず。店頭でぜひお手にとってこの「薄さと軽さ」を体感してくださいませ。

雨後の・・・おいなりさん

大雨、ほんとに恐ろしかったです。土曜日の夜は当店の前の道路も15センチほど水が溜まってあわや床上浸水かと思われましたがなんとか浸水は免れました。今泉のほうは道路に面した店舗で浸水被害があったそうでお見舞い申し上げます。梅雨明けが待ち遠しい。







日々ばらばらと少しずつ商品が入荷していたもので写真を撮ってないものもあり売れてしまったものもあり・・・申し訳程度に商品入荷のおしらせ。

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持ち手付きの四角い缶。

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何を入れましょうか?





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魔法瓶水筒2種。共にデッドストックです。

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タイガーのボトル、ダッシィー。
トリオ<強さ、保温力、デザイン>がそろったダッシィー・・・なんだそうです。

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犬マークのグロリア。




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厚手の立派な切子平鉢。





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ぽってりの乳白ガラス深鉢。





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透明のプレスガラス中鉢。

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ブルーのプレスガラス中鉢。共に使いやすい大きさです。

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家具類入荷のお知らせ

「二日酔いの日の朝、もう2度とお酒は飲むまいと思うのに夜になったらまた飲んでしまうのはなぜですか?」


夏休み子ども科学電話相談に電話してみようと思う夏の日・・・・。







木製の家具類もろもろ入荷してます。

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風格あるダイヤガラスの収納棚。引き戸のガラスの内側は現在棚板1枚入っていますが、もう一段入れる予定。

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最下段に広幅の引き出し、その上に2分割の引き出しが一段。引き出しが2段付いているのは珍しいです。

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風格の理由は全体に巡らしてある異材質の枠。本体より一段濃い色の紫檀のような素材で囲ってあります。シックにコントラストがついて木の艶も美しく贅沢な作り。






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あたまに本立てのついたモールガラス入り開きの収納棚。

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文庫も雑誌も入る2段。小ぶりですがてっぺんの本立てが以外な収納力を発揮します。






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シンプルな開きの収納棚。奥行きが薄めなのでおおぶりですが圧迫感を感じさせません。薄型テレビをのせるのにもちょうどよいでしょう。

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程よい目隠し効果のモールガラス。中は3段です。






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堅牢なくさび式の本立て。ベーシックな4段。

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一見退屈な見かけによらず背の彫り物がなんとペンギン。してやられた。






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花台および電話台。欲張りな人は両方のせてください。






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引き出し付きの開き収納棚。

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ガラスはもみじ柄。

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飾りのレリーフはすずらん。昭和らしいやさしい装飾です。










そのほか・・・
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3段のガラスケース追加で入荷。






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ブリキ缶。





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ピッチャーのようなジョッキのような・・・注ぎ口付きのグラス。

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急いでつけたようなぐにゃぐにゃの取っ手が味わい深く。






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青いツブツブのガラスつまみ。以前の白いツブツブと色違いです。

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昔の暮しの手帖に載っている日曜大工のページを参考に小引出を手作りして好みのつまみをつける・・・なんて夏休みの自由課題も楽しいです。

おいなりさん療養中

先日屋根から落ちて以来おとなしめのおいなりさんです。

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弓なりになって床に寝る。

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おいなりさんの名前の由来はいなり寿司ではなく、稲荷神社の白狐のほうから頂いてます。似てるから。だからと言ってお隣の家の庭にあるお稲荷さんの祠のてっぺんに馬乗りになるのはやめてほしい。見つかったら叱られるのではないかと思ってひやひやしています。




ところで、お稲荷さんの首輪変わってますねと度々お問い合わせいただきますが、縮緬の丸ぐけです。一度革の首輪をつけたら首のまわりの毛がぐるりとハゲてしまいました。肌の弱い猫ちゃんにはおすすめです。もちろん売ってないので手作りなんですが、先日猫雑誌を読んでいたら通販のコーナーにありました。化繊の縮緬でしたけど。

「丸ぐけ」は昔は帯締めに多用されてましたが今はほとんどないですね。現在流行のあっさりした着こなしには合わないのでしょうけど、帯揚げとおそろいの生地の無地の丸ぐけだとすっきりしますし、冬の寒い時には温かみがあってよいと思います。猫ちゃんとお揃いの布で作ってもいいかもしれません。

綸子や丹後ちりめんなどいろいろ試したけど現在はしぼの大きめ緋縮緬に落ち着いています。ミシンで縫ったり中にひもを詰めたりと簡易な作り方が考案されているようですが、猫ちゃんの首輪だったら短いので古典的に中綿で手縫いで作ってあげたいところです。先に筒状の布を作ってしまうのではなく、綿をくるむようにくけていったほうが簡単にできます。骨董市で好みの布を見つけたらぜひお試しあれ。

商品入荷のお知らせ

蒸し暑い中ぼちぼち商品入荷中。



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省エネ家電よりもエコな団扇(うちわ)。珍しい扇子型です。

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ノーマルな丸いタイプや細長いのとか・・・いろいろあります。エコポイントつけてほしい。





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小さな机…というより台。シンプルなぶんだけ用途も幅広く。





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2段の小ぶりなガラスケース追加で入荷。





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ガラス蓋が涼しげなパーコレーター。夏のだるさにはコンデンスミルクたっぷりのコーヒーをどうぞ。





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紅茶用、モダンデザインのティーカップ6客。

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デッドストックです。





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陶製のミッキーマウスのスタンドライト。

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ちょっと顔が間延びしているものの、立派にミッキーマウスです。袋打ちコードの古さから言って戦後の混乱期に作られたものでしょうか。

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整備済み、ちゃんと点灯します。

怖い話

昨日寝るときに台所の温度計で31℃。今日の朝起きたときに見ても31℃。こんなに暑い時には古道具屋らしくエコに涼しくなろう、というわけで怖い話。

100年経つと物にも魂が宿るなんてことを昔の人はいいました。妖怪なんてほとんどその系統でしょう。古いものを扱っていると、たまに嫌な感じのするものがあります。なぜだかわからないけど何となく嫌。なるだけ手元に置いておきたくない気がする物・・・それはその物を所有していた人の強い執着が残っているんじゃないかと思うときがあります。まあ全く気にしないという人もたくさんいるでしょうけど、以下はとある古い着物好きの人の話。







そのひと仮にAさんとしましょう。Aさんは一時期ひどく着物にはまっていたそうで、それはもう本当に着物に憑かれたように骨董市へ行っては古い着物や帯などを買いあさっていたそうです。着物仲間数人と出かけたある骨董市で、黒い地色に赤の椿の花が刺繍してある素敵な帯を見つけました。とても個性的な帯だけど刺繍もとてもよくできているし汚れなどもなく状態もいい。一目ぼれでしたがやはり気になるのはお値段。お店の人に恐る恐る聞いてみると、拍子抜けするほど安い値段を提示されたそうです。意外に思ったものの即決で購入。

その後は決まって着物仲間と自宅でお茶を飲みながらその日の戦利品の品評会。それぞれの買ったものをほめたりコーディネートを提案したりした中でもAさんの買った椿の帯が皆の話題を集めました。刺繍も見事だし、何より「椿」の柄だから冬の間長く締めることができていいよね、という話でした。そして大事に畳んで箪笥の中へ。

それからしばらくその帯のことは忘れていたそうです。忙しく過ごすうちに年末にきもの友達と集まって食事をしようということになり、そうだ、あの椿の帯を締めようと思ったそうなのです。そして当日着物を着て帯を箪笥から出し、締め始めてみると・・・柄が違うのです。椿の帯、と思っていたその帯の柄が菊の柄になっていたのです。なんだか背筋がゾッとしました。まじまじと帯をひっくり返してみても菊の刺繍。椿などどこにもないのです。なんだか空恐ろしくなってその日は別の帯をしめて行ったそうです。

そして後日その帯を以前に品評会をした時のメンバーである友人に見てもらったところ、その子も「やっぱり違う。地色はそのままだけどあの時は椿だった、その場にいた数人が確認したので間違いはない」と。なんだか薄気味悪いね…と言いながらその友達は帰って行ったそうです。







信じる信じないは別として、個人的には、特に着物は女の執着心の塊のようなものですからそんな妙なことが起きてもおかしくないのかもしれないと思います。ちなみにAさんはやっぱり気味が悪くなりその帯は手放したそうです。その帯がめぐりめぐって自分の箪笥に・・・と思ったらやっぱり怖いです。少しは涼しくなりましたでしょうか?

スクラッパー

突然ですがわたくし、スクラッパーです。解体屋さんではありません。切り抜きが大好きです。ヤフーオークションにもちゃんと切り抜きのカテゴリがあるほど認知度の高いものだと思いますが、特定のアイドルに特化したり、新聞の気になるコラムだったりと蒐集の範囲は個人で様々です。

古典的なもので言うと切手でしょうか。当店も一応古いものを扱う店のはしくれですので個人の集めたスタンプ帳などが手元にくることがあります。裕福な方のものだと見返り美人や月に雁がシートで何枚も入っていたりして驚きますが、お金をかけなくとも動物に特化したり、山に特化したりと様々な集め方ができますしその分個性も出て見るだけでも楽しめます。

そして一番安上がりな収集はタダでもらえるものを集めるというのに尽きるでしょう。一時期の定番として、飲食店の箸袋やマッチなどが多いですね。マッチは特に日本全国にあるものですし、様々な業種の店がそれぞれに個性あふれる広告をしていますから収集のしがいもあります。マッチの場合は箱そのままの状態に価値が置かれ、箱からラベルだけをはがしてスクラップブックにはってしまうと価値がなくなりますが、それは蒐集家の価値観であって、収集家でない人にとってはスクラップブックのほうが集めた人の好みやデザインの面白みをより純粋に楽しめると思います。


以下、昭和3年のマッチラベルを主にしたスクラップブックの一部です。
ブログ
いかにもなアールデコデザインが格好良いです。

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漢字とカタカナと棒線だけが縦書きな混沌。

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まさにマーブル。適当に描いたような手書き文字にも堂々たるデザイン力。

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一見、暮しの手帖と見まごうばかりですが、あの福砂屋。珍しくモノトーンなのが古さを感じさせません。



この一冊には相当数のスクラップが貼ってありますが、集めた人のセンスの良さと当時のマッチラベルのデザインの独創性と面白さには目を見張るものがあります。個人的にスクラップブックとは、一にひとつづつの貼り方の美しさ、二に見開き全体の色のバランスと美しさ、三にスクラップブック一冊通しての全体の流れと秩序。だとおもっていますが、この一冊は文句なく面白い。デザインを学ぶ人や職業とする人、趣味でイラストレーションを描く人など貴重なアイデアソースとなると思います。興味のある方は店頭へどうぞ。