2009/01/27
弊店には
石油ストーブがほしいと言ってご来店いただくことも多いです。ひとしきり使い方やメンテナンスをお尋ねになり、「実はネットオークションで
アラジンを買おうと思ってるんです」と言われることがあります。ネットオークションだと買おうと思えば5000円くらいから買えますものね。得した気分になるのもわかります。
ところが、こうしたお客様はほとんどが、そのオークションで購入したストーブをもって再度ご来店になります。芯が変だとか、火がきれいなブルーファイヤーにならないとか、灯油くさいとか・・・いろいろな理由ですが、結局は分解整備や芯交換をしてしまうと割高になってしまうわけです。そこで今日は、ネットオークションでストーブを購入するにあたって注意すべきことをいくつかお話したいと思います。
ネットオークションでは
アラジンだけでも本当にものすごい数のストーブが出品されていますが、出品者のほうもいろいろです。買う側としてはなるべくきれいでそのまま使えるものがいいと考えますよね?ですが、商品説明と少ない画像だけで判断するのは非常に難しいものです。商品説明や質問などでチェックしたほうがいいことをいくつか挙げます。
使えます = 火が付きます ではありません。まず、写真が掲載されており、そこには一見きれいなブルーファイヤーが写っているとしても、安心はできません。しばらくすると火が赤くなってきたりすることがあります。一例をあげますと・・・

先日ネットオークションで買ったストーブ、「芯は十分残っており、ブルーファイヤーになりますので使えます。」と記載してあっても、この右側のような真っ黒の芯がついていたりします。左の新品の芯と比べると如何にひどい状態かわかりますね。芯だけでも新品で2100円します。
芯交換済み にも要注意芯が新品であれば安心・・・とおもいがちですが、ネットオークションでは芯交換が正しく行われているかどうかを判断するすべがありません。一例をあげますと、以前購入したストーブで、「芯新品に交換済み」と説明されていましたが、ストーブを開けてみると、確かに芯は新品だが…突っ込んであるだけ。というのがありました。芯はきちんと装着しなければ意味がありません。最初に火はつくでしょうが、すぐに赤い火になってしまいます。
マイカ交換済みマイカとは、
アラジンののぞき窓のことですが、これも新品を買うと結構な値段がするのです。商品説明に「マイカ交換済み」と書いてあればうれしい、ですよね。でも、これも注意。一例をあげると、マイカ交換済みと書いてあるストーブを購入、開封してみるとどう見てもマイカは新品でない。いったいどういうことかと尋ねると・・・ほかの中古のマイカを付け替えただけ。などということもあります。確かに新品に交換済みとは書いてないけれども。
レストアベースと言われても何の事だかよくわからない人も多いでしょう。これは、restoreつまり、要修理、ジャンク品ですといってあるわけです。部品取りしたい人や修理が趣味の人向けです。
整備済み、分解清掃済み、の違い以前にも少し話しましたが、整備済みというのは一般的に使える状態にすることです。ですからピカピカの状態を想像すると当てが外れます。ほこりまみれでもすすけていても、灯油を入れて火をつければブルーファイヤーになるという状態であれば整備済みと言っても申し分ありません。
そして、ややこしいのが分解清掃済みです。これは明確な規範があるわけではないので、どの程度まで分解してどれくらい磨くのかは個人の判断によります。当店の場合は

全部分解します。ひとつ残らず。ねじまで磨きます。
アラジンはすごい数のパーツになるのでここまで分解して磨くのは大変な重労働です。
タンクの中は?絶対見えませんから、写真にも乗ってませんし、出品者のほうもタンクの中をのぞいている人はほとんどいないでしょう。でもこれが実は一番大事だったりします。古くなってくるとタンクの中が錆びたりして傷んできます。ためしに灯油を入れて洗ってみます。

どうでしょう?汚いと思いませんか?これだけ汚れがたまっているのです。これが灯油吸い上げ口の目に詰まってぽちぽちと赤い火が出る原因になったりします。また、意外と多いのがタンク内への水の混入です。屋外の倉庫などで保管していると雨水などが混入することがあります。これもきつい灯油のにおいの原因になります。
以上いくつか挙げてみましたが、どうでしょう。簡単に安く手に入るようでも、意外と落とし穴は多いようです。そしてネットオークションでの一番問題は中古品はほとんどがノークレームノーリターン。購入後のメンテナンスも質問も受け付けてくれるところがないことです。ですから、新品を買うか、中古なら安心できるお店できちんと整備されたストーブを実物を見て購入するほうが、結局は安上がりだと思います。